長年キャバ嬢をしていると、今はいない太客のことを思い出すことがある。
あれは私が19歳でキャバクラデビューした時。
一番最初に指名してくれたのがその客だった。
特に頼んではないんだけど「僕がNo.1にしてあげる!」と週2ペースで通ってくれて、毎回シャンパンを入れてくれた。
けっこう過疎ってたお店だったから、新人の私があっという間にNo.1になったんだ。
今ならその太客のおかげってわかるんだけど、あの時の私は若かった。
「私、めっちゃすごいんじゃん!?」と調子に乗り、高級店へとお店を変えた。
最初はその太客も通ってくれていたんだけど、雰囲気が合わないのか次第に足が遠のいた。
最初は「アフターするから!」とけっこう強引な営業で繋いでいたけど、それも長くは続かず、結局太客とは連絡が取れなくなってしまった。
焦った私は色んな人に営業をかけたんだけど、全然相手にされず……。
このとき、ようやく太客の有難さと、背伸びしすぎた自分に気づいた。
あれから7年。
頑張った時期もあったんだけど、結局、あのあとはナンバー1になったことは1回もない。
あの時、店を変えなければ。
あの時、太客にもう少し違うアプローチができれば。
あの時、もっと早く頑張っていれば。
あれこれ頭をよぎることはあるけど、もう遅い。
最近は年もとってきて、売上も下がってきている。
今頃、あのお客さんは違う女の子の太客してるのかな~。
そう思うと、今でも悶々とするわ。。。