勧誘を断れない~無力~
こんな赤髪・ショートヘア・舌ピアスの激しめ見た目をしているものの、私はすこぶる押しに弱い人間である。
実は2年前に上京してから現在に至るまでに2回ほどクーリングオフ制度を活用している。
どちらもサロン脱毛系で、池袋を歩いている時に声をかけられたのだ、サロンモデル募集していますがいかがですか…と。
私は押しに弱い割にこういった"無料体験"みたいな言葉にも非常に弱い。まあタダならいっか〜とホイホイついて行ってしまうのだ。まったくどうしようも無いおマヌケ人間である。
案の定、体験後はカウンセリングの名目で軽く1時間ほど拘束される。2回目に関しては、このパターン...これに行ったら絶対に拘束されるよな、と分かっているのについて行ってしまうのだ。まったくどうしようも無い。
脱毛しますとも、美容に悩んでいますとも言ってないのにどのコースを契約されます?と綺麗なお姉さんに笑顔でゴリゴリに押される。私は契約するつもりなど無いのだとも言えず、中途半端なニヤケ顔でああ、だの、はい、だの小声で垂れ流す壊れたラジオのようになっている。
こんな地獄の光景が東池袋のど真ん中のサロンの、1畳にも満たない個室で繰り広げられているなど道行く人は知るよしも無い。知らなくて良いのだ。
結局、お姉さんの圧力に負けて契約してしまうこと2回...という感じだ。1回目は37万の全身脱毛コースで気づいたら60回払いのローンを組まれていた。2回目は約4万の部分脱毛コースを組まれていた。
1回めのクーリングオフ後にローン会社から届いた支払い計画書を見ると、契約したのは37万円のコースのはずが支払額が50万円に増えていた。ちなみにサロンで分割手数料についての言及は一切無かった。今思うとかなり最悪だが、まあそういうやつらなのだ。
私は押しに弱いというか、今まで笑顔で話かけてくれていた人間が突然真顔に戻る瞬間がめちゃくちゃに怖い、この世で何よりも怖い。だから断れない。
断れないならそういう類のものに近づくなよ、と言いたい人もここまで読んでくれた中にはたくさんいるだろう。無理なのだ。私は常に食い物にされる側の人間である。そんな弱者が唯一、対抗できる手段がクーリングオフ制度なのだ。
ああ、ありがとうクーリングオフ、アンタのおかげであたしゃ2度も命を救われているよ...クーリングオフ制度を考え出した人物にはぜひとも金一封を送りたいね...という気持ちを毎日噛み締めて生きている。
まあこんな賢い制度を思いつく人間は私からの金一封など貰わなくとも十分豊かな生活をしている可能性の方が高いであろうが。