第10話 久々のホストクラブ

★ギフトカードプレゼント2大企画開催中!★

Saiko

+2

-5

「いらっしゃいませ!!」

煌びやかな店内に、男性たちのハキハキとした声が鳴り響く。
数か月前にも来たはずなのに、初めて来店したときと同じようにビクンと身体が反応した。
私なんかじゃ場違いのような、少し恥ずかしい気持ちになる。
ユタカくんの背後に隠れて、ほかのホストたちと顔を合わせないように進んだ。

「ん?あゆちゃん、どうかした?緊張してる?」

そう言ってユタカくんは笑い、手をつないで席まで誘導してくれた。
フロアを歩いていると、他の席から女性客の視線を感じた。

ユタカくんはこのお店の売れっ子ホストだから、指名客が被っていてもおかしくない。
それなのにわざわざ私のために時間を使ってくれたんだ。
しかも今、こうやって手をつないで歩いてくれている。
全然店に来ない私に、こんなVIP待遇をしてもらっていいのだろうか。

色んな考えが頭の中をグルグルと駆け巡った。

「あゆちゃん、ここに座って」

連れて行ってくれたのはかなり奥まった席。
たぶん私に気を遣ってくれたんだろう。かなり恐縮しながら、席へ着いた。

「何飲もうか。指名料もかかるし、高いのはやめておこうね。あゆちゃんもキャバクラで働いてるしわかると思うけど、1杯ずつ頼むよりもボトルの方が安いよ。どうする?」
「う、うん。ユタカくんにお任せします」
「OK」

ホストクラブは2回目以降、かなり高くなるとどこかで聞いたことがある。
かっこよく「任せる」なんて言ってみたけど、ユタカくんが高いお酒を頼んで、会計が何十万とか言われたりしたらどうしよう……。
現金が足りなかったらカードで支払おうとは思うけど、正直不安だ。

しばらくして運ばれてきたのは、ボトルの鏡月だった。
おそらく、このお店で一番安いお酒。

「あゆちゃん、お酒そんなに強くないでしょ?これをチビチビ飲もう」

ユタカくんが高いお酒を頼むなんて、少しでも考えた私がバカだった。
彼はいつだって、私の気持ちを先読みしてくれるんだった。

「もう……もっと高いのでもいいんだよ?」
「本当?じゃあこれを飲み終わったらそうしてもらおうかな」

そんなことを言い合いながら、二人で乾杯。
ホストクラブにいるユタカくんも、私の知ってるユタカくんと同じ。
そう思ったら、一気に気持ちが緩んだ。

10分くらい話していると、スタッフさんがユタカくんに話しかけた。
どうやら別の席に呼ばれたらしい。

「あゆちゃん、ごめん。ちょっとだけ行ってくるから待ってて。僕の代わりにヘルプが着くから」

そう言って、ユタカくんは行ってしまった。
きっと私に見せるあの優しい笑顔を、他の女性にも見せているんだろう。

さすが、売れっ子は違うなぁ。
私なんて、指名客がいたらずっとその席に着きっぱなしなのに。
橋田さんとか……山本さんとか……。

「………う、おえっ」

山本さんを思い出した瞬間、激しい吐き気が襲われた。
ユタカくんがいなくなった瞬間、嫌な出来事が次々に思い浮かんでくる。

何も疑わず、シャンパンを飲み続けたこと。
気づいたら山本さんが私の胸をまさぐっていたこと。
園田さんに介抱されたこと。
私にはもう指名客がいなくなったこと。

もう何も思い出したくない。

気持ち悪い。
全部、気持ち悪い

私は段々と、意識が遠のいていった。

つづく

+2

-5

おもしろコラム

占いキャンペーン

ショコラ占いガチャ キャンペーン

会員登録してログインした状態でガチャを引くと
大当たりがでるチャンス!
登録無料なので是非、この機会に会員登録しちゃおう☆

※ガチャを引けるのは1日1回までとなります。
1週間連続ログインすると1日2回引ける特典を進呈中!

マイページログイン

会員登録が完了しましたら

以下のボタンから引き続き
ガチャをお楽しみください

close