第5話 2年間で500万円

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Saiko

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「ユタカくんとの結婚費用を貯めるぅぅうううう!?」

頭の中がキーンとするくらい、控え室中に園田さんの大きな声が響いた。
誰かに聞かれたらどうしようと思ったが、女の子はみんな帰ったようだった。
たまに廊下で清掃する新人ボーイが忙しそうに行き交っている。
私は少しほっとして、視線を園田さんへと戻した。

「それがあゆちゃんのお金を貯める目標!?なにそれ、ユタカくんに結婚しようって言われたの!?」
「いや。そういうわけじゃないんですけど……、そうなったらいいなぁっていう願いも込めて」

そう伝えると園田さんはあきれ顔を浮かべつつ、椅子へ座り込んだ。
私もそれに続き、園田さんの前に座る。

そう、私がお金を稼ぐ理由は『ユタカくんとの結婚資金を貯めるため』だ。
私はユタカくんとずっと一緒にいたい。
ユタカくんと会うために生きてるといっても過言じゃない。
だから、お金を貯める目標もユタカくん関連じゃないとやる気が出ないと思った。

「まぁ~別にそれでモチベーションが上がるならいいんだけどさ……。いくらくらいが目標なの?」
「結婚式の費用の平均って355万くらいだったんですよ。なので、とりあえず多めに500万くらいは貯めたいなって思ってます」
「500万ね。それ貯めたら、あゆちゃんは夜から足を洗える?」

思いもよらない言葉に、きょとんとしてしまった。

「キャバクラはいつまでもいていい場所じゃない。最近は熟女ブームで30代、40代になっても働ける店はある。でもね、やっぱり日に当たる仕事じゃないから後ろ指差されることが多いんだよ。傷つかないよう、若いうちに稼ぐだけ稼いでサクッとやめた方がお互いにいい。だから俺が担当になった女の子には、目標を決めさせてる。そして目標を達成したら店を辞めるように説得してるんだ」

最初ユタカくんにキャバクラで働くことを誘われた時、「怖い人たちが経営してるんじゃないの?」「男の人をだますお仕事なんだよね?」なんて質問したりした。
今はそんなことはないって理解してるけど、世間の目は最初の頃の私とそう変わりはないだろう。
園田さんは、私の将来のこともきちんと考えてくれているんだ。

「俺的にはできるかどうかわからない結婚よりも、転職活動をする時のための生活費にした方がいいと思うけどね。あゆちゃんは浪費するタイプじゃないし、昼職でもちゃんとやっていけるんじゃない?まだまだ若いんだしさ」
「はぁ……」

私は正直、『転職』「昼職』と言われてもいまいちピンと来なかった。
ただ、またスーパーのレジ打ちをするのは勘弁して欲しいな、という気持ちだけだ。

「今のあゆちゃんなら、500万なら2年くらいで貯められるんじゃない?」

2年後となると私は22歳。ユタカくんは26歳だ。
結婚には少し早いけど、同棲しながら将来に向けて準備をするのにはいい頃かもしれない。

「そうですね。とりあえず、2年間で500万貯めるのを目標にします!」

そう元気良く宣言した私を、園田さんはジトッとした目で見つめてこう言った。

「絶対ホストに使うなよ」

……私は、まだまだ信用されていないようだ。

 

つづきはこちら⇒第6話 山本さんとの出会い

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